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外出先で撮った写真をアップしたり、練習として書いた文章などをアップしていきたいと思います。
Posted by - 2025.01.14,Tue
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Posted by かば - 2008.11.23,Sun
「ハマナカさん」
「はい」
 電子空間でくつろいでいた私がヨコタ先生に意識を向けると、ヨコタ先生は職員室で私を見上げていた。といっても、人間のような私の身体が職員室に浮いているのではなくて、ヨコタ先生は職員室の天井に付いているカメラを見上げていた。私たち電人にとっては管理しているネットワークのすべてが身体だった。
「どうしたんですか?」
「リュウ先生に校内を案内してほしいんだ」
「私がするんですか?」
「そう。君自身のことだし、僕はまだ手が離せないんでね」
 自分だけイスに座っているヨコタ先生はパソコン画面を指差しながら答えた。あらかじめヨコタ先生から「案内を頼むかもしれない」と言われていたけど、ヨコタ先生は最初から私に頼むつもりだったようだ。
 ちなみに、ヨコタ先生は四十代半ばでやせ型の小心そうな人間の男性で、この中学校の芸術系授業の主任をしていた。でも、本人は主任を押し付けられたと思っているらしくて、あまり仕事熱心とは言えなかった。
「リュウ先生もそれで構わないかな? 僕が案内するより、同性のハマナカさんの方が気が楽だろう」
「『ハマナカさん』て、エントランスで声を掛けてきた電人の方ですよね?」
「そう。ここの施設の管理や保守を一手に引き受けているから適任だと思うよ」
「……分かりました。
 ハマナカさん、よろしくお願いします」
 ヨコタ先生のそばに立っていたリュウ先生がまだ少し緊張した表情で私を見上げた。予定より二時間早く到着した新任のリュウ先生はまつげが長くてたおやかな感じのする人間の女性で、なぜかこの季節には似合わない淡いピンクのスーツを着ていた。
「リュウ先生、緊張しなくて大丈夫ですよ。今、アバターで行きますから待っててください」
 私はアバターとして使っている人間の女性そっくりの駆体に意識を向けて、素早く駆体の状態を確認した。私は仕事に合わせて様々な駆体を使っているけど、アバターとして使っている駆体は今朝準備してから使ってなかった。
(今ごろピンクのスーツを着るなんて、春に赴任するつもりで何かあったのかな?)
 もしかして病気にでもなったのかもしれないと思いながら、私は髪の乱れとチュニックの着崩れだけを直して職員室に向かった。私は駆体にこだわる方ではなかったけど、電人以外には駆体を使った方が安心してもらえた。



これでこのシーンは完成です。

分かりづらいと判断した“電人”の説明を冒頭から入れ、ヨコタ先生とリュウ先生の描写は大づかみで人柄が分かるように心掛けました。また、同じく分かりづらいと判断した“私”の仕事内容も充実させて、昨日まで全然説明できてなかったリュウ先生の“淡いピンクのスーツ”や季節についても少し触れてみました。

会話や展開のリズムを止めたくなくて描写の分量自体は大幅に増やしてませんが、次はこのシーンの続きをリュウ先生の視点で書きながら練習したいと思っています。

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プロフィール
HN:
かば
年齢:
46
性別:
男性
誕生日:
1978/12/25
職業:
患者団体役員
趣味:
考え事
自己紹介:
軽度な短腸症候群の患者で、「短腸症候群の会」という小規模な一般社団法人の代表理事をしています。
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