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外出先で撮った写真をアップしたり、練習として書いた文章などをアップしていきたいと思います。
Posted by - 2025.01.15,Wed
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Posted by かば - 2008.08.05,Tue
気を抜くとすぐに修正を休んでしまいそうになりますが、20の‘修正’(実際はほとんど新作)もほぼ終わりです。後1、2日で完成すると思うので、来週の更新までには必ず間に合わせたいです。

(7月31日分から続く)
「はい、気を付けます」
 私はできるだけ素直に答えて天井のスピーカーから呼び掛けてきた看護師にお引き取り願った。悪いと思ったけど、パックの話を聞かせる訳にはいかなかった。
 そして、ナースセンターにつながるマイクのスイッチが切れたことを確認してから、私は斉藤さんに向き直った。
「斉藤さん、ケイタイに移ってくれる?」
『大丈夫でございますか?』
「大丈夫よ。今度はゆっくり動くし、右手で持つだけなら疲れないから」
 ためらう斉藤さんをせかして、私は慎重に右手でケイタイを拾った。ベッドの上に放り出してあったケイタイを取っただけだから、リハビリにはなっても看護師の注意には反してないはずだった。
「……じゃあ、斉藤さんも小声でお願いね」
『はい、お嬢様』
「斉藤さんもやっぱり指輪の感触はパックのせいだと思う?」
『はい、パック様の他にそのようなことをされる方がいるとは思えませんし、できる方がいるとも思えません』
「そうよね……。
 でも、なんでこんなことしたんだと思う? 『生きてる』って伝えるだけならメールでも呼び掛けでも楽な方法がたくさんあるじゃない」
 私が体育座りで尋ねると、斉藤さんは少し考えてから答えた。
『……もしかすると、指輪に意味が込められているのではありませんか?』
「『意味』?」
『はい、パック様がお部屋でお嬢様に指輪をプレゼントされたように、この指輪の感触にも意味が込められているのではと思います』
「……でも、右手の人差し指だし、私はもう電子空間に行けないんだよ?」
『ですが、パック様は電子空間から義手に働きかけられました』
「そうか……、電子空間から義手に働きかけられたなら、義手からも電子空間に働きかけられるかもしれないってことね?」
 半信半疑だった私は斉藤さんの言葉に目の前が明るくなった。私を縛り付けていると思えてならなかった義手が初めて大切なものに思えた。
「じゃ、じゃあ……、義足や人工眼、人工内耳からも電子空間につなげると思う?」
『その可能性はあると思います』
「やった!」
 私は小さく喜びの声を上げた。またパックやチョコに会って触れることもできると思うと、私はサイボーグになって良かったと生まれて初めて思った。
「じゃあ、そのための方法を早く見付けなくちゃ」
(後に続く)

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プロフィール
HN:
かば
年齢:
46
性別:
男性
誕生日:
1978/12/25
職業:
患者団体役員
趣味:
考え事
自己紹介:
軽度な短腸症候群の患者で、「短腸症候群の会」という小規模な一般社団法人の代表理事をしています。
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twitter:@kaba2308
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