ようやく15の修正が終わりました。次の16は旧版の17と結合させる予定ですし、心機一転してしっかり修正していきたいです。
(5月24日分の最後の1行から)
『確かにそう言ったけど……、望ちゃんはそれで良いの?』
「うん。認めたからって今の私が人間じゃなくなる訳じゃないもの」
『そうね……』
井上さんはまだ少しだけ戸惑った様子で机をたたいた。私が今までと正反対のことを言い出したのだから当然だけど、私はそれ以上説明しなかった。
「ねえ、美穂姉もそう思うでしょ?」
『うーん……。それも考えの一つでしょうね。でも、そうするとコミュニケーションソフトやロボットの一部は‘人’になるの?』
「人だと感じられればね」
『うーん……。ちょっと考えさせて。今まできちんと考えたことなかったから』
「もちろん。私もちょっと思っただけだから、美穂姉もあんまり真剣に考えないでね」
私があっさり話を打ち切ると、井上さんはホッとしたような表情になった。私に気付かれないようにしていても、私がまた生命の境界について尋ねるかもしれないと思っていたみたいだった。
『じゃあ、後で考えさせてもらうね。
後、望ちゃんに聞いてもらいたかったことってあったかな?』
「だったら、新田さんたちの研究がどこまで進んだか教えて」
『え?』
「ほら、この前アメをもらったけど、飲み物は無理だったじゃない。だから、いつごろ飲めるようになるかなって思って」
『うーん、「できるだけ早く」としか聞いてないな……。今日のミーティングで聞いてみるね?』
「お願い。
あ、でも、私がせかしてるとか思わせないでね」
『大丈夫よ。うまく聞くから』
井上さんは笑って私――正確には私が使っているカメラ――に手を伸ばした。
『それとも、余計な心配をしないで済むように自分で聞く?』
「いい。美穂姉が聞いて」
『分かった。じゃあ、ミーティングの前に片付けておきたい書類があるから、部屋で待っててちょうだい』
「うん」
私は美穂姉にカメラを軽くたたいてもらってから、他の人の邪魔にならないようにカメラを天井近くまで引き上げた。
16、
雑談が終わって私が部屋に戻ろうとした瞬間、ゾッとするような非常ベルが研究室に鳴り響いた。
『システム管理部から全館へ! システム管理部から全館へ!
保安レベルレッド! 保安レベルレッド!
大学の大半のシステムが正体不明のサイバー攻撃を受けてダウンしたため、全システムの保安レベルをレッドに引き上げます! なお、これは訓練ではありません!
繰り返します……』
「……え?」
(後に続く)
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