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外出先で撮った写真をアップしたり、練習として書いた文章などをアップしていきたいと思います。
Posted by - 2025.01.15,Wed
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Posted by かば - 2008.04.17,Thu
このところ修正した分をさらに修正するということが続いています。今日の分もホームページでの公開までにさらに修正されるかもしれませんが、久し振りに勢いに乗って進められました。

(4月16日分から続く)
「じゃあ、身体に未練があるのかい?」
「当たり前でしょ! 私の身体なのよ! 私はあの身体があって初めて私なの!」
 私は言い捨ててパックから離れた。パックがどう思ってるか知らないけど、私は身体を捨てるつもりも「新しい種族」になるつもりもまったくなかった。
「来ないで!
 パックだけ『新しい種族』にでも何でもなれば良いでしょ!」
「望! 望は事故前と同じ身体になりたくないのか!?」
「!?」
 私が油断したすきにパックが私の左手首をつかんだ。
「卑怯者!!」
「そうさ。僕は望に一緒に来てもらいたいんだ。でも、『事故前と同じ身体』と言ったのはウソじゃない。今すぐには無理だけど、望が望むならそれ以上の身体だって作ろう」
「そんなことできる訳ないじゃない!」
「できるさ。ここではアバターが身体で身体がアバターなんだよ。研究所のリソースだけにこだわらなければ人間以上の感覚を持たせることだって不可能じゃない」
 パックは強い視線で私を見詰めて抵抗する私を引き寄せた。
 心底嫌いになったはずなのに、パックに言われた「事故前と同じ身体」という言葉が私の中に染み込んでくる。
 私はパックに抱き止められてからようやく絞り出すように言い返した。
「……でも、それは本当の身体じゃないじゃない」
「それは望の考え方次第さ。望は電子空間に来たときに生まれ変わったんだ。だから、身体も生まれ変わった。同じ生まれ変わるならサイボーグの身体より今の身体の方が良いんじゃないか? 今はまだ不十分でも、こっちの身体なら事故前と同じ身体にだってできるんだから」
 パックは後ろから私にささやいた。
 私は意識から閉め出そうとしても、今でははっきりとパックの存在を感じた。触れている部分からパックの体温が伝わってくるし、パックのかすかな身動きを感じた。私にはそれが現実なのかバーチャルなのか、それとも私の空想なのか区別できなかった。
「……一緒に来てくれるね?」
「止めて……。私は手伝わないわ」
(後に続く)

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プロフィール
HN:
かば
年齢:
46
性別:
男性
誕生日:
1978/12/25
職業:
患者団体役員
趣味:
考え事
自己紹介:
軽度な短腸症候群の患者で、「短腸症候群の会」という小規模な一般社団法人の代表理事をしています。
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twitter:@kaba2308
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