『電子のイブ（第二版）』13の一部

昨日は集中して修正することができました。でも、今日はもっと余裕を持って修正できるようにしたいです。

（4月12日分から続く）
「え？」
「新型ウイルスも含めて僕たちが電子空間を独立させてしまえば良いんだ」
「!?」
　私はパックの言葉に驚いてパックを見詰めた。すぐに冗談で言っているのだと思おうとしたけど、パックの表情は真剣だった。
「そ……、そんなことできる訳ないじゃない」
「どうして？　新型ウイルスにはもちろん、僕たちにだって権利はあるんだよ？」
「でも、私は人間だもの……。あと半年くらいで現実に戻るのに、そんなことできる訳ないじゃない」
「望、最初に会ったときに僕が言ったろ？　『僕たちはもう人間じゃない“新しい種族”なんだよ』って」
　パックの優しく言い聞かせるような言葉が私の中の何もかもを打ち壊すハンマーのように荒れ狂った。
「……そんなのパックが勝手に言っただけじゃない!!　そんなの一言だって認めてないし、これからだって絶対認めないからね!!」
　私はパックを怒鳴りつけるとすぐに部屋へ戻ろうとした。もう一秒だってパックと一緒にいたくなかった。
　でも、何度コマンドを唱えても視野は変わらなかった。
「パック！　邪魔するのは止めて！」
「望……、望の気持ちは分からないでもないけど、家族や知ってる人たちに二度と会えなくなる訳じゃないんだよ？　ケイタイやパソコンを使えばいくらだって会えるさ」
「そういう問題じゃない！」
（後に続く）