制作を始めてからようやく気付いたことでしたが、私はレール幅をどうするかまったく考えていませんでした。考えていたのは1ポッチ幅のプレートかタイルを垂直に立ててレールに見立てるということだけで、今思うとよく線路が出てくる作品を作ろうと思ったものだなと思います。
それでも、そのときはなんとでもなると軽く考えていたので、とりあえずレール幅を5ポッチにすれば車輪がうまく乗ると確かめ、左の写真のように線路を造りました。このとき、1号のキャタピラと枕木の相性(枕木は1/3段高くなっているので、そのままだとキャタピラがうまく乗らない)の問題を知ったり、2号のローラー(後輪)幅は枕木幅より広く取らなければならないことなどを知りました。
そして、しばらくレール幅を5ポッチということで制作を進めたのですが、今度は出品時にジオラマ風に撮影した写真を使った方が良いのではないかと思うようになり、1号と2号が一度に乗る長い線路を造り始めました。でも、すぐにパーツが足りないことに気付いて断念せざるを得なくなって、パーツが少なくて済む3ポッチのレール幅に変更することになりました。まさに泥縄で、制作途中だった1号と2号も全面的に改造する羽目になりました。右がその改造後の写真で、線路はほぼ完成形となり、1号と2号の大きさ、形状もほぼ確定しました。
こうして、試行錯誤を経て1号と2号の具体的な大きさ、形状が決まり、さらに細かい試行錯誤を経て出品作が完成しました。形状(デザイン)後回しで制作を進めたためか「架空重機コンペディション」そのものではそれほど評価してもらえませんでしたが、‘用の美(道具の機能を追求していけば自然と美しくなる)’と思っているのでそれなりの‘美しさ’になったのではないかと思っています。次に出品する際はもっと早い段階から新奇性にも配慮して、さらに美しいレゴ作品を作りたいです。
制作しながら具体的な形を考えるというのはいつものことですが、滅多に作らない重機を2両作ることになったので余計に試行錯誤することになりました。
そのため、とりあえず機能を具体的な機構に置き換えながら大体の形を考えるということにして、右の写真のような感じになりました。写真の下に写っているのが1号で、上が2号になります。
このときはまだ1号にレールを撤去するためのブレードや車体前方にあるブームの跳ね上げ機構はなく、2号のブレードもブルドーザーのように車体前方に設置して平気だと考えていました。また、このときから1号のキャタピラ用の歯車や車軸を受けるビームの不足が分かっていたこともあり、最初に思い付いた2号より1号の制作を優先することも決まりました。
そして、このときに決まった大体の形を元に運転席とエンジン部を追加していくことにしたのですが、トレインシリーズを直接見たこともなかったこともあり、レール幅という問題に振り回されてしまうことになったのです。
実在する重機をいかに架空重機にするかという問題があった訳ですが、これは難しいようでかなり簡単に解決しました。
手っ取り早く三輪ローラーのそばにあったモーターグレーダーとの合体を考え、さらにそういう重機を誰が使うかと考えてみたのです。‘道路族’という設定はひらめきに近いものだったので詳しくは説明できませんけど、重機のユーザーを考える中から出てきた可能性が高いと思います。
ちなみに、この道路族という設定はたちまちのうちにふくれあがり、書ききれなかったものとしては次のものなどがあります。なお、詳しく書いていくとさらにふくれあがってしまうので、簡潔な箇条書きにさせてもらいます。
・道路族と鉄道族は都市部よりも地方区が主戦場
・都市部の線路は砂利バラストを使っていないことがあるため
・2両からなる組にしたのは、
・実用的なエンジン出力
・トラックでの輸送性
・両者の運用条件(1号は振動が大きく、2号は大きな振動が好ましくない)が異なる
・運用目的が限定され、機能を集約できる
・部隊の規模を小さくするほど被発見率を低下できる
ことなどを考慮したため
・1号をキャタピラ方式にしたのは、
・ブレードでレールを撤去したり、リッパーで枕木を掘り起こすのに大きな摩擦係数が必要
・砂利バラストの上を走行する
ことなどを考慮したため(元々接地圧など様々なことを考えると、多脚式は兵器や重機には適さないと思っています)
・突進小隊の後には、
1.砂利バラストより細かい砂利を運び込んでならすダンプとブルドーザーの組
2.アスファルト舗装をする組
などが続く
・これらの舞台をまとめて‘大隊’なども編制される
・‘突進小隊’の命名は‘敵(鉄道族)の影響下の地域に食い込み、後に続く舞台のための穴を空ける’ことが任務なことから
こうしてユーザーと運用目的は決まったのですが、この日のうちに制作を始めても決まっているのは1号と2号に持たせる機能ばかりで、実際の制作に必要なことは何一つ決めてなかったのです。(続く)
「架空重機コンペディション」も無事閉幕し、語れなかった設定や制作時の話を少しずつ書いていきたいと思います。
まず、きっかけですが、直接の引き金になったのは左の三輪ローラーを見たことでした。このいかにもレゴパーツにありそうなフロントのエンジンカバーを見て、「レゴで作ってみたい。丁度重機が題材になったコンペがあることだし参加してみよう」と思ったのです。
正直言って、それまではレゴのコンペやコンテストへの参加経験が一切なかったこともあって「架空重機コンペディション」も無視するつもりでした。私の作品とはあまりにも作風が違うので評価されないだろうと思い込んでいたことも否定できません。
それでも、このときは「レゴで作ってみたい」と強く思っていたので参加することへの不安はありませんでした。ただ、このとき考えていたのは‘レゴによる再現’であり、求められていた‘架空重機’でなかったことだけが問題でした。(続く)
mixi ID:24077499
twitter:@kaba2308
dNoVeLs:かば
Powered by "Samurai Factory"