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Posted by かば - 2011.04.27,Wed
本日、Twitterで、
今すぐ原子力発電所を全部止めて再生可能エネルギーの全面導入に踏み切ったとしたら、最低でも30年くらいの移行期間と150兆円くらいの費用(廃炉費用含む)が必要になりそうだけど、これに日本社会は耐えられるだろうか? 特に移行期間中の電力不足は厳しい気がする。
とつぶやいたら「全家庭に自家発電能力を持たせれば、原子力発電所を全部止めても電力不足は起こらない」という反論があったので、乱暴にシミュレーションして回答としてみました。読み直してみると“再生可能エネルギー”が最初の段階で消えてしまっていてちょっとずれていますが、ご愛敬ということでご容赦願います。

では、以下がそのシミュレーションとなります。

(仮定)すべての一般家庭に自家消費分を十分まかなえるだけの自家発電能力を持たせるとする

(1)どのような自家発電装置を設置するか?

家庭用の自家発電装置というと、候補となるのは、
  1. ガソリン発電機
  2. マイクロガスタービン発電機(燃料としてバイオマスによるガスを含む)
  3. 太陽光発電装置+充電池
  4. 風力発電装置+充電池
  5. 燃料電池(燃料としてバイオマスによるガスを含む)
  6. 上記の組み合わせ
というところと思います。ですが、365日安定して自家消費分をまかなわなければならないとするのであれば、設置価格や維持費用、信頼性、整備性、量産性などを考えると、1.がもっとも現実的と思います。ただし、1.も点検・整備・修理などで停止する時間が必要ですから、2基以上でセットにするか、充電池などを組み合わせる必要があります。

(2)それはどれぐらいのものになるか?

一般家庭1世帯当たりの消費電力量もガソリン発電機についても詳しく知りませんが、発電出力4~6kWのガソリン発電機なら、十分まかなえると思うので、とりあえず、これくらいと考えて話を進めます。

このガソリン発電機を予備も含めて2基置くスペースは、吸排気・騒音軽減・点検・整備・安全確保のためのスペースや制御・配電関係の機器のスペースも含めると、ユニットバスくらいの広さがあれば十分と思います。取り外して別の場所で整備するというのであれば、一間幅の押し入れに収められるかもしれません。

これだけでも集合住宅に住まわれている方にとって結構なスペースと思いますが、さらに燃料となるガソリンと潤滑油、それに吸排気用のフィルターなど消耗品の保管庫も必要です。このガソリン発電機がどれぐらい燃料消費量か知りませんが、あまり頻繁に補給するのも大変ですし、100~200Lくらいのガソリンを常時保管する必要があるかもしれません。こちらも、安全設備などを考えるとユニットバスくらいの広さが必要と思います。

もちろん、これだけ大量のガソリンを自宅に保管するには法律改正が必要です。ですが、ここでは仮定の達成を優先して、法律は改正できるということにします。

そして、費用はというと、これも乱暴な想像ですが、ガソリン発電機が1基50万円で2基100万円、そのほかの設置費用込みで初期投資500万円(住宅の改造費別)、年間維持費は50万円(ガソリン・消耗品代、点検・整備委託料、保険料など)で、5年に1度ガソリン発電機1基を交換(寿命)という感じで、そんなにケタが違うほど外してはいないと思います。

(3)全世帯で行うとどうなるか?

一般家庭1世帯当たりの人数を3人と多く見積もっても、全国で4000万世帯。この中には集合住宅に住んでガソリン発電機の設置ができない人もいますが、ここではとりあえず、全世帯に設置できるとして話を進めます。

4000万世帯にガソリン発電機を2基ずつ設置すると、8000万基のガソリン発電機が必要になります。国内のガソリン発電機の生産基数は知りませんが、バイク・自動車用などのエンジン生産ラインも転用して生産能力を確保し、年間1600万基の生産能力があれば、5年で8000万基のガソリンエンジンを行き渡らせ、5年ごとの寿命に対応することもできます。

また、設置したガソリン発電機やそのほかの設備の適切な保守管理をできる人は多くないでしょうから、すべての保守管理を請け負う会社を全国に作り、1人で1000基を担当するとして、8万人のサービス技術者を雇用します。もちろん、これらサービス技術者を支援するための人も必要なので、とりあえず、2万人程度をさらに雇用します。

全国の費用としては、設置が完了するまでの5年間で200兆円(年間40兆円)、年間維持費で20兆円、ガソリン発電機の更新費で年間8兆円になります。国家予算で対応するのは非常に厳しいですが、個別の費用を考えれば、大量購入による費用低下を期待しても、半額程度が限界かと思います。

(4)まとめ

思った以上にお金がかかり、産業にも影響を与えることが分かりました。でも、これなら、生産体制の確立や法律改正、技術的な確認を含めても、10年程度で全国の一般家庭が十分な自家発電能力を持てると思います。

この10年程度という時間でも遅いと思われるかもしれませんが、そのほかの発電方法では技術開発などの時間も必要となるため、15~30年程度はかかると思います。


【追伸】

反論には廃炉についても書いてありましたが、廃炉に時間がかかるのは放射線量が十分下がり、解体・処分できるようになるまで待つためだと思うので、人員を確保してもあまり意味はないと思います。また、解体・処分の対象となるのは原子炉建屋や格納容器といった分厚い鉄筋コンクリート製や鉄合金製の大型構造物や複雑な配管類なので、人海戦術よりも重機の使用や専門家に任せた方が早くて安全で費用もかからないかと思います。

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軽度な短腸症候群の患者で、「短腸症候群の会」という小規模な一般社団法人の代表理事をしています。
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