今日はバレンタインデーということで“チョコクリーム入りコロッケ”というものを見付けました。
一体どんなものかと食べてみたら固めのホイップチョコクリームをコロッケの形に成形して衣を付けてコロッケのように上げたもので、チョコクリーム入りの揚げドーナツを思えばそう不自然なものではありませんでした。
でも、コロッケ1個分のチョコクリームを揚げてあるというのはなかなかヘビーで2個食べられる人(売り場では2個入りで売られていました)はちょっと少なかったかもしれません。
どれぐらい売れたのかは分かりませんが、この耳目を集めるような商品をどんな風に思い付いたのだろうと思ってデタラメな再現風戯曲(格好を真似ただけなので正確には戯曲‘風’)を書いたりもしました。
(以下、デタラメ再現風戯曲です)
あるスーパーの会議室。勤務の終わった惣菜部スタッフ四人が惣菜部長、惣菜部チーフに呼ばれて長テーブルに就いている。
四人は呼ばれた理由を分かっている様子で、惣菜部長がホワイトボードを背に口火を切る。
部長:「みなさん、我々惣菜部もバレンタインキャンペーンに参加し、チョコレートを使った惣菜を販売することになりました」
チーフ:「それで、みんなに何を作ったら良いかアイデアを出してもらいたいの」
スタッフα:「たとえばチョコ入りワッフルドッグとかですか?」
チーフ:「そう」
部長:「ただ、パン部とはできるだけ重ならないものにしてください」
スタッフβ:「難しいわね」
スタッフγ:「チョコ入りたい焼きとか、大判焼きだったら重ならないんじゃない?」
スタッフε:「でも、それだったら外の焼き鳥の屋台に重なるし、お菓子とも重なるから難しいんじゃない」
スタッフβ:「そう言えば、前にたい焼きとか大判焼きを出したときは思っていたより売れなかったわね」
スタッフα:「でも、そういうことを言ったらチョコを使った惣菜なんて難しいんじゃないですか?」
スタッフγ:「うーん……」
スタッフβ:「チーフや部長は何かないんですか?」
チーフ:「そうね、私も色々考えてみたんだけど、みんなと同じようなものしか思い付かないのよ」
部長:「なかなか思い付かないからみなさんに集まってもらったんです。バレンタイン当日まで時間がないですし、良い惣菜ができれば折り込みチラシにも目玉として載りますから」
スタッフβ:「そう言われてもね……」
スタッフε:「αさんだったら彼氏に何を贈るの?」
スタッフα:「え? 私ですか? 忙しいから売ってるチョコを買って贈ろうかと思ってますけど……」
スタッフε:「残念ね」
チーフ:「何かないかしら?」
スタッフβ:「チーフ、難しいですよ。アルファさんが言ったみたいにチョコ入りワッフルドッグじゃダメなんですか?」
チーフ:「うーん。部長はどう思います?」
部長:「悪くないですけど、何かこうパッと目を引くような、手を出してみたくなるようなものはないですか?」
スタッフγ:「……色々考えてみたんだけど、“チョコ入りコロッケ”何てどう?」
一同:「『チョコ入りコロッケ』!?(一斉にγを見る)」
スタッフβ:「ちょっと、本気なの?」
スタッフα:「そうですよ、ジャガイモにチョコを混ぜるんですか?」
一同:「……(ジャガイモにチョコレートを混ぜたものを想像している様子)」
チーフ:「と、とにかく、説明してくれない?」
スタッフγ:「私も作ったことはないけど、ホイップチョコだけをコロッケの形にして衣を付けて揚げれば結構おいしいんじゃないかなって思ったのよ」
スタッフε:「『ホイップチョコだけ』……」
スタッフα:「……案外いけるかも」
スタッフβ:「(疑わしそうに)そう?」
スタッフα:「私もやったことはないですけど、具がホイップチョコだけなら揚げドーナツみたいなものだと思えば結構いけると思うんです」
部長:「……確かに意外性はあるし、結構面白いかもしれませんね」
チーフ:「他にアイデアはある?」
スタッフ一同:「……」
チーフ:「じゃあ、とりあえず試作してみることにして、それから改めて考えましょう」
部長:「そうですね」
スタッフβ:「(スタッフを代表して)分かりました」
一同、解散する。
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