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外出先で撮った写真をアップしたり、練習として書いた文章などをアップしていきたいと思います。
Posted by - 2025.01.14,Tue
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Posted by かば - 2008.07.20,Sun
1週間でこれだけ修正できました。明日の更新にはとても間に合いませんが、焦ることなくしっかり修正していきたいです。

(7月11日分の途中から)
「……あ、あれ……?」
「気が付いたのね。
 まだ完全に麻酔が覚めた訳じゃないから動かないで」
「……ま、『麻酔』?」
「そう、無理に返事しなくて良いからね。
 これから少しずつ説明するから」
 井上さんはゆっくり優しい口調で言った。
「……?」
 一体「麻酔」とはどういうことだろう。私の声は信じられないほどかすれて弱々しかったし、たった二言なのに全力疾走したかのような“疲れ”を感じた。
「……ど、どういうこと……?」
「無理に話そうとしないで。
 今から少しずつ説明するから」
“息が切れた”私をなだめるように井上さんの言葉が続いた。
 でも、一体なぜ「息が切れ」たりするのだろう。部屋にいる私は「だるさ」や「疲れ」とは無縁なはずなのに、頭の中も霧が掛かったみたいにはっきりしなかった。
「望ちゃん、まず何も見えないのは異常でも何でもないから安心して。しばらくしたらまた元のように見えるようになるから」
「私……、どうかしたの……?」
「今説明するから急がないで。
 その前に、望ちゃんは今何を感じてる?」
「え?」
「目は見えなくても耳は聞こえてる訳だし、他に何か感じる?」
「え……と……、ベッドに寝てるのを感じる……。
 でも……、部屋のベッドじゃない?」
 私は両手の指だけを動かして部屋のベッドとは違う感触を感じた。何と言うか、とてもリアルな感じだった。
「ここ……、部屋じゃないの……?」
「そう思う?」
「うん……」
 私は井上さんに答えながら意識を身体に集中した。部屋にいたときにはほとんど感じなかった、息をするたびに毛布が上下する感覚や、心臓がはっきり脈打っている感覚、それに、清潔なシーツや少しツンとする消毒薬の臭いを感じた。
「……でも、どうして? 新しい実験か何かなの……?」
 こんなリアルな再現テストをするなんて聞いた覚えがなかった。
「大体、私は研究室でテレビを見てて……」
 一生懸命思い出そうとすると、私は井上さんに怒鳴って何かしたことを思い出した。でも、その後は記憶が途切れてしまっていてよく思い出せなかった。
「……私が何かしたの?」
「そうね。
 でも、それは理由のごく一部よ」
「じゃあ……、残りは何なの?」
(後に続く)

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プロフィール
HN:
かば
年齢:
46
性別:
男性
誕生日:
1978/12/25
職業:
患者団体役員
趣味:
考え事
自己紹介:
軽度な短腸症候群の患者で、「短腸症候群の会」という小規模な一般社団法人の代表理事をしています。
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