外出先で撮った写真をアップしたり、練習として書いた文章などをアップしていきたいと思います。
Posted by かば - 2008.07.03,Thu
まったく新規の場面ということもあり、なかなか思うように進みません。7日までの完成は難しくなってきましたが、焦ることなく着実に進めていきたいです。
(6月26日分から続く)
『「電子空間の安全保障と引き替えに、電子空間に住む新しい種族のための領土として全世界にあるコンピューターリソースの一割」を要求してるみたい。回答を要求された国連事務総長は即座に要求を拒否したけど、今のところほとんど有効な手を打ててないみたいなの』
「そう……」
『「電子空間に住む新しい種族」が具体的にどういう存在を意味するのかは分からないけど、とにかく望ちゃんは心配いらないからね』
井上さんはわざと私を励ますように明るい口調で言った。本当は研究所もすごいパニックなんだろうけど、とにかく私を不安がらせないように気を遣ってくれているのが分かった。
『国連も政府も動いてるし、時間も少し掛かるかもしれないけど、インターネットに接続できない他は望ちゃんの生活に変わりはないから』
「でも、もしその『電子空間に住む新しい種族』が私みたいな人のことだとしたらどうなるの?」
『もしそうだとしても望ちゃんもこの研究所も変わらないわ。その人と望ちゃんは関係ないし、望ちゃんはここで治療を受けながら治療に関連する研究に協力してるだけだもの』
「そうじゃなくて、もし本当に私みたいな人が自分で住むために要求してるんだとしたら?」
『どういうこと?』
「もし本当に私みたいな人が自分で住むために電子空間を要求してるんだとしたら、国連や政府は“独立”を認めてくれると思う?」
私の質問に井上さんは指で机をたたいた。予想してなかったみたいで、井上さんは考え込むように私から視線を外した。
『……難しいでしょうね。その人だって望ちゃんみたいに部屋が用意されてるでしょうし、それ以外のところを勝手に自分のものにはできないと思うわ』
「じゃあ、その人が新型ウイルスとか、新しい生命だと信じてるものと一緒に住みたいと思ってるとしたら?」
『……それでも難しいでしょうね。その人が自由にできるのはその人に用意されてる部屋だけだと思うわ』
「じゃ、じゃあ……、その人が住むためとかじゃなくて、今電子空間にいる新しい生命だと信じてるものを他の人にも認めさせて、安全に住めるようにするためだとしたら?」
私は井上さんに食い下がった。井上さんの答えはもっともだったけど、私は納得してしまう訳にいかなかった。
「認めてもらえるでしょ? 全世界のコンピューターリソースの一割は無理でも、安全に住める場所は絶対に必要だもの」
『……望ちゃん、落ち着いて。
望ちゃんの考えは分からなくもないから、二人で一緒に考えましょ?』
「でも、私は認めてもらいたいんです。電子空間に新しい種族はいるんです」
『望ちゃん……』
井上さんは困ったように私を見たけど、私は止めなかった。ここで井上さんを説得できなかったら認めてもらうことなど不可能な気がした。
「前に生命について話したとき、美穂姉は『ロボットを生命に含めても良いんじゃないかって主張してる人たちがいる』って言ったよね。だから、電子空間に新しい種族がいるって言う人がいても良いと思うの。電子空間にいるものはロボット以上に守られていないし、誰かがこういうことをしなくちゃ真面目に考えてももらえないと思うの」
(後に続く)
(6月26日分から続く)
『「電子空間の安全保障と引き替えに、電子空間に住む新しい種族のための領土として全世界にあるコンピューターリソースの一割」を要求してるみたい。回答を要求された国連事務総長は即座に要求を拒否したけど、今のところほとんど有効な手を打ててないみたいなの』
「そう……」
『「電子空間に住む新しい種族」が具体的にどういう存在を意味するのかは分からないけど、とにかく望ちゃんは心配いらないからね』
井上さんはわざと私を励ますように明るい口調で言った。本当は研究所もすごいパニックなんだろうけど、とにかく私を不安がらせないように気を遣ってくれているのが分かった。
『国連も政府も動いてるし、時間も少し掛かるかもしれないけど、インターネットに接続できない他は望ちゃんの生活に変わりはないから』
「でも、もしその『電子空間に住む新しい種族』が私みたいな人のことだとしたらどうなるの?」
『もしそうだとしても望ちゃんもこの研究所も変わらないわ。その人と望ちゃんは関係ないし、望ちゃんはここで治療を受けながら治療に関連する研究に協力してるだけだもの』
「そうじゃなくて、もし本当に私みたいな人が自分で住むために要求してるんだとしたら?」
『どういうこと?』
「もし本当に私みたいな人が自分で住むために電子空間を要求してるんだとしたら、国連や政府は“独立”を認めてくれると思う?」
私の質問に井上さんは指で机をたたいた。予想してなかったみたいで、井上さんは考え込むように私から視線を外した。
『……難しいでしょうね。その人だって望ちゃんみたいに部屋が用意されてるでしょうし、それ以外のところを勝手に自分のものにはできないと思うわ』
「じゃあ、その人が新型ウイルスとか、新しい生命だと信じてるものと一緒に住みたいと思ってるとしたら?」
『……それでも難しいでしょうね。その人が自由にできるのはその人に用意されてる部屋だけだと思うわ』
「じゃ、じゃあ……、その人が住むためとかじゃなくて、今電子空間にいる新しい生命だと信じてるものを他の人にも認めさせて、安全に住めるようにするためだとしたら?」
私は井上さんに食い下がった。井上さんの答えはもっともだったけど、私は納得してしまう訳にいかなかった。
「認めてもらえるでしょ? 全世界のコンピューターリソースの一割は無理でも、安全に住める場所は絶対に必要だもの」
『……望ちゃん、落ち着いて。
望ちゃんの考えは分からなくもないから、二人で一緒に考えましょ?』
「でも、私は認めてもらいたいんです。電子空間に新しい種族はいるんです」
『望ちゃん……』
井上さんは困ったように私を見たけど、私は止めなかった。ここで井上さんを説得できなかったら認めてもらうことなど不可能な気がした。
「前に生命について話したとき、美穂姉は『ロボットを生命に含めても良いんじゃないかって主張してる人たちがいる』って言ったよね。だから、電子空間に新しい種族がいるって言う人がいても良いと思うの。電子空間にいるものはロボット以上に守られていないし、誰かがこういうことをしなくちゃ真面目に考えてももらえないと思うの」
(後に続く)
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1978/12/25
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考え事
自己紹介:
軽度な短腸症候群の患者で、「短腸症候群の会」という小規模な一般社団法人の代表理事をしています。
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