『電子のイブ（第二版）』８ の一部

　昨日はなんとか時間を確保して4日連続休みとならずに済みました。
　新しい場面に入ってまた毎日修正を進めていきたいです。

（７から続く）
　新型ウイルス――その後チョコチョコ動くから‘チョコ’と命名――の実体を見付けるために部屋の外に出た私は適当なところで部屋に戻った。時間の都合もあったし、探検にはもっと準備が必要だと気付いたからだ。
　部屋に戻ったときにはチョコともずいぶん仲良くなっていて、次の日にはすっかり手放せない‘家族’になっていた。
『……という予定なんだけど、望ちゃん、ちゃんと聞いてる？』
「あ、はい！　午後の予定でしたよね」
『そのとおりだけど、ずいぶん部屋が気になるみたいね』
「そ、そうですか？」
『うまく隠してるつもりみたいだけどちゃんと分かるわよ。いくらカメラだってさっきから私のこと見てないじゃない』
　井上さんがマウスから手を放して少しだけあきれたように言った。私がさっきから今日の探検のことを考えていたことはすっかり筒抜けになっていたようだ。
「済みません……」
『まあ、望ちゃんが楽しんでくれてるなら良いけど、午後のテストはちょっときついかもしれないからね』
「はい……。確か、平衡感覚再現テストと環境再現テストでしたよね？」
『そう。平衡感覚再現テストではこの間の不具合を直したって言ってたけど、気分が悪くなったりしたらいつでも中止してもらって』
「はい」
　まだいくらか探検のことを考えていた私はこの間の平衡感覚再現テストを思い出して気持ちが引き締まった。この間は本当に気分が悪くなって大変だったのだ。
「今度はちゃんと聞きます」
『そうね。もうすぐお昼だけど、話もあと一つだけだからね』
（後に続く）